こんにちは。COCOです。
今回のお悩みは前回同様、配偶者の転勤に伴うお悩み事例です。
育児休業復帰直前に夫が関西から関東への転勤が決まって着いていくことにしたんです。
仕事を継続したいけど、職場への通勤は難しいです。職場復帰は難しいですか?
もし退職することになったら、自己都合になるんですか?
このブログでは、「配偶者の転勤によって通勤困難になった場合に復職はできるか」
「退職する場合には自己都合となるのか」について解説しています。
育児介護休業法に基づく育児休業の復職とは
育児休業の復職は、育児介護休業法において「事業主は原職または原職相当職に復帰させるよう、配慮すること」とされています。
職務や勤務場所に変更がないというのが原則であり、休業を理由とする不利益な配置変更(通常の人事異動のルールで十分に説明できない職務や就業の場所の変更により、労働者に相当程度経済的または精神的な不利益を生じさせること)は禁止されています。
つまり、育休取得前に働いていた職務、勤務先に復職するというのが原則となります。
そのため、配偶者の転勤により原職での復帰が難しく、退職せざるを得ないケースが多いです。
企業によっては支社や工場への転勤、テレワークなど、柔軟な対応が可能なケースもありますが、それはごく稀で、なかなか難しいのが現状です。
このケースについて、勤務先の顧問社労士さんにも確認しました。
原職復帰が原則になります。
今回のように配偶者の転勤でついていくため、育児休業前の勤務先への通勤が困難となった場合、「テレワークでもできる仕事をつくるなど、わざわざ仕事を用意して雇用を継続する」ということまでは会社に求められていません(支社への転勤が可能かを検討するなど、配慮することが望ましい)。
女性の育休後退職率や出産前後の退職率は依然として高いといわれている今、個人的には「育ててきた従業員の退職は、会社の損失」ととらえています。
働きたいと望む人が働き続けられるように、物理的な距離はあっても、パフォーマンスを出して働ける環境をどう作っていくか。
コロナ禍で進んだテレワークなどの働き方をどう活用していくか、企業の喫緊の課題でもあると思います。
先日の「育休中に夫が海外転勤で帯同、仕事は継続できるか」…のブログにも書きましたが、継続して働きたいと思っているなら、あきらめず、まずは会社に相談してしてみてください。
「復職して仕事を継続したい」と思う気持ちを伝えることが大切です。
退職する場合は自己都合に該当するのか
会社に相談してみます。もし会社から復職は難しいといわれて退職することになったら、自己都合となるんでしょうか?
基本的には「自己都合退職」の扱いとなります。ただし、失業手当の受給において、「特定理由離職者」として扱われる可能性があります。
- 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(本人が希望したにもかかわらず、更新の合意が成立しなかった場合に限る)
- 正当な理由による自己都合退職
自己都合退職との違い
離職理由 | 受給資格要件 | 給付制限 |
自己都合 | 離職日以前2年間に、被保険者期間を通算して12カ月以上あること | 2カ月ないし3カ月 |
特定理由離職者 | 離職日以前1年間に、被保険者期間を通算して6カ月以上あること | 正当な理由のある自己都合退職の場合、給付制限の対象外 |
今回は前述の「特定理由離職者とは」の②に該当する可能性があります。
正当な理由には「被保険者が結婚に伴う住所の変更により、通勤のための往復所要時間がおおむね4時間以上となったので、辞表を提出して退職した場合」というものがあります。
退職時に発行される離職票には、労働者の個人的な事情による離職(一身上の都合)を記載されます。
加えて、右ページ下段の【具体的事情記載欄(事業主欄)】に以下のことを記載してもらっておくといいでしょう。
例:「配偶者の転勤で●●県●●市への住所変更により、通勤が困難となったため離職」
退職後、ハローワークへ手続きする際に、配偶者転勤の辞令など(転勤がわかる書類)を添付して離職理由を説明することで、特定理由離職者扱いとなる可能性が高いです。
正当な理由のある特定理由離職者であれば、資格要件の緩和と離職理由による給付制限がなくなるというメリットがあります。
要は、早く失業手当が受給できるということです。
知識の蓄積が豊かな人生につながる
制度を知っているか知らないかで、大きな違いです。
世の中にはたくさんの制度がありますが、知らずに損をしていることも少なくありません。
人生を豊かにすることは、ちょっとした知識の積み重ねが「大きな差」につながっていくのかもしれませんね。
今回のようなケースに該当したら、下記ポイントを確認してください。
●育児休業の復職は原則、原職復帰
まずは会社に相談し自分の意志を伝えましょう
●退職時は特定理由離職者に該当する可能性も
離職票<離職理由欄>に明記してもらいましょう
頭の片隅にこんな制度があったなと覚えておくだけでも、何かのときに役立ったりするものです。
ぜひ、知識をストックして、いざという時に活用できればいいですね。
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