こんばんは、COCOです。
10月から育児・介護休業法の大きな法改正がありますね。こちらはまた後日、お伝えできればなと考えています。
今年4月、友人が育児休業から復帰すると聞いたので「ぜひ会社に手続きを確認してね」と伝えたことがあります。
このブログでは、育児休業から復帰後に会社に確認してほしい<2つの社会保険手続き>について解説しています。
育児休業復帰後に考えるべき手続き

まずは育児休業復から復帰されるにあたって、働き方を検討されると思います。

保育園のお迎えがあるから、短時間勤務で働けたらと思っています。



私は定時での勤務にしようと思っています。
などなど、それぞれの環境に応じた働き方を選択されると思います。
育児休業復帰後の働き方の多くは、短時間勤務や時間外労働のない働き方で、給与が下がる傾向にあるといわれています。
つまり、給与が減額することで、社会保険に加入されている方が毎月天引きされている社会保険料も減額される可能性があるということです。
では、どのような仕組みになっているのでしょうか。詳しくみていきましょう。
会社に確認すべき社会保険の手続きとは


育児休業からの復帰前は保育所の手続き、復帰後は仕事と家庭の両立で、とってもあわただしいですよね。
これからお伝えする2つの手続きは、該当すれば下記を実現することができます!
- 社会保険料を減額できる
- 将来もらえる年金を維持できる
社会保険料はどうやって決まる?



そもそも、どうやって社会保険料が決まっているのかも、正直わかっていません。手続きもなんだかややこしそうだなと。



そうですよね。社会保険制度って難しい用語が多くてわかりづらいんです。できる限りわかりやすく、順に説明していきますね。
そもそも、社会保険料ってどうやって決まるの?という疑問。
下記の例をご参考ください(できる限りわかりやすい言葉でお伝えしています)。
資格取得時の決定
入社したときなど、社会保険に加入することとなった時点で、毎月の給与額(報酬月額)を社会保険事務所の標準報酬月額等級表にあてはめて決定されます。
<今回、標準報酬月額等級表は大阪の健康保険協会を参照しています>
取得時の毎月の給与額見込み:310,000円
標準報酬月額等級表にあてはめた標準報酬月額:300,000円
給与から天引きされる社会保険料:健康保険料15,330円、厚生年金保険料27,450円


取得後の改定
【定時決定】
年1回、7月に実施される社会保険の算定手続きです。4~6月の給与額をもとに計算され、その年の10月給与天引き(保険料9月分)より、改定されます。
【随時改定】
固定的賃金が増減し、3カ月の平均給与額が、標準報酬月額等級で2等級以上差が生じたときに改定されます。
資格取得時、取得後の定時決定や随時改定は、基本的に会社が手続きを行ってくれるので、わざわざ確認する必要はありません。
確認① 育児休業等終了時改定の手続き
この手続きは、3歳未満の子を養育する場合、育児休業を取得し復帰した際に、短時間勤務等で給与が減額することで、社会保険の標準報酬月額が1等級以上下がったときに改定できる手続きのことです(逆に上がった場合は届出不要です)。
- 被保険者からの申し出により、会社が社会保険事務所へ届出を行う
【必要書類】
・育児休業等終了時報酬月額変更届
資格取得時や取得後の定時決定、随時改定は、基本的に会社が手続きを行ってくれますが、育児休業等終了時改定については、あくまで “ 本人の申し出に基づく ” とされています。
会社によっては従業員に説明し、意向を確認するところもあるかと思いますが、皆さんの会社はどうでしょうか?



私の職場では説明と意向を確認するようにしています。そもそもそんな制度があるんだ!という人がほとんどだと思います。
育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業及び育児休業に準ずる休業)終了日に3歳未満の子を養育している被保険者は、次の条件を満たす場合、随時改定に該当しなくても、育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、4カ月目の標準報酬月額から改定することができます。
※標準報酬月額は、育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月分の報酬の平均額に基づき算出します。 ただし、支払基礎日数が17日未満の月は除きます。
イ.育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月のうち、少なくとも1カ月における支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上であること。
※短時間就労者(パート)に係る支払基礎日数の取扱いについては、3カ月のいずれも17日未満の場合は、そのうち15日以上17日未満の月の報酬月額の平均によって算定します。
(出展:育児休業等終了時報酬月額変更届の提出|日本年金機構 (nenkin.go.jp))



文章だと難しくてわかりづらいですよね。
友人の復職例を図を用いて解説していきますね!
友人の雇用形態:
正社員・月給・社会保険料(翌月徴収)
短時間勤務(復職後)
【例:4月1日に復職した場合】


4~6月の各月の賃金支払い基礎日数が17日以上あるので、3カ月平均により計算します。
育児休業復職後の給与額に基づき計算された「標準報酬月額」が産休・育休前の「標準報酬月額」より下がった場合、4カ月目の保険料分から改定されます。
社会保険上のルールとして、原則、社会保険料は翌月に給与天引きされるため、社会保険料が減額改定されるのは8月給与(保険料7月分)からとなります。
上記の改定を行わない場合、本来の定時決定により、4~6月の給与額をもとに、10月給与天引き分(保険料9月分)より改定されます。
= 定時決定による改定より、育児休業等終了時改定の方が、2カ月早く減額改定が可能
【例:4月16日復職の場合】


4~6月のうち、4月は賃金支払い基礎日数が17日未満となるため、5・6月の2カ月平均により計算します。
改定月については、上段の【4月1日復職の場合】と同様です。
社会保険料の差
標準報酬月額:300,000円
社会保険料:健康保険料15,330円、厚生年金保険料27,450円
標準報酬月額:280,000円
社会保険料:健康保険料14,308円、厚生年金保険料25,620円


月々2,852円減となります。
なかなか説明されても理解しづらい制度ですが、育児休業等終了時改定を行う場合は、必ずセットで「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」の手続きを行ってください。
確認② 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の手続き
この手続きは、3歳未満の子を養育する場合、短時間勤務等で減額改定(=育児休業等終了時改定)したとしても、その期間にかかる将来の年金額が低下しないようにする特例制度です。
先ほど説明した育児休業等終了時改定の制度により、標準報酬月額が改定され、保険料が減額されました。つまり、標準報酬月額が下がると、将来もらえる年金も低下するということです。
そのため、特例制度として届出を行うことで、将来もらえる年金も減額されず、維持することができます。
- 被保険者からの申し出により、会社が社会保険事務所へ届出を行う
こちらの制度も、あくまで “ 本人の申し出に基づく ” とされています。
【必要書類】
1.養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届
2.添付書類
・戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
※住民票の写しで代用可(世帯主の場合)
子との身分関係が確認できること
・住民票の写し
※上記1.に個人番号の記載があれば添付不要
※ 提出日から90 日以内に発行されたもの
※ 養育特例該当日に同居が確認できるもの
例:育児休業終了の場合は、育児休業終了日の翌日の属する月に発行されたもの


まとめ


育児休業が終了し復職したら、下記を会社に確認してみましょう。
- 制度①:育児休業等終了時改定の手続き(健康保険・厚生年金保険)
- 制度②:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の手続き(厚生年金保険)
※「申出日の前月までの2年間」
さかのぼって申出可能
=性別を問わず、届出可能


詳しくはお勤め先、社会保険事務所にご確認のうえ、手続きを進めてくださいね。
私も社労士試験の勉強ではじめて知った制度です。
社会保険料は下がっても、将来もらえる年金は減額されないのは、働くママやパパにとって、とってもありがたい制度だと私は思います。
だからこそ、会社でも制度の説明を行いスムーズに手続きができるようにサポートしています。
ぜひ皆さんも、復帰してバタバタする時期でもありますが、将来的にお得な制度なのでご活用ください。




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