今回のお悩みは、2022年10月の社会保険法改正に伴う働き方のお悩み事例です。
現在、66歳で1日4時間の週5日勤務しています。週20時間以上のため、勤め先では雇用保険は加入、社会保険は未加入です(健康保険は配偶者の扶養に入っています)。
10月からの法改正で社会保険に入らなければならないの?
週20時間未満の働き方に変更した場合、雇用保険は喪失してしまうの?
失業手当はもらえるの?
・・・といった不安があったそうです。
今回は10月からの社会保険・加入対象者の拡大により、週20時間未満の働き方になった場合の雇用保険・失業手当の仕組みをわかりやすく解説します!
社会保険加入対象者の拡大
現在の社会保険加入の対象者は、従業員数501人以上(フルタイムの従業員数+週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数)の企業とされています。
2022年10月~は従業員数101人以上の企業が対象、2024年10月~は従業員数51人以上の企業が対象となりました。
社会保険の新たな加入対象者
次のすべての要件に該当した場合、社会保険に加入することになります。
①勤務先の状況を確認
現在 | 2022年10月~ | 2024年10月~ |
従業員501人以上 | 従業員101人以上 | 従業員51人以上 |
②すべてに✔が入った方が対象
社会保険の加入対象者が広がるというわけですね!
配偶者の扶養の範囲内で働いていた方にとっては、一見、保険料負担が増えて損だと思うかもしれません。
要件に該当したら、絶対に入らないといけないんですか?
今のままの働き方でいいんだけどなぁ。
社会保険は希望の有無ではないんですよね。雇用契約上の働き方が要件を満たせば、自動的に加入することになるんです。
社会保険料が天引きされて手取りが減る印象があると思いますが、年金や医療保険の保障が充実するというメリットがあるんですよ~。
社会保険に加入するメリット
- 年金が2階建てになることで保障が充実する
- 医療保険では「傷病手当金」「出産手当金」の保障が充実する
老齢厚生年金(上乗せ部分) |
老齢基礎年金 |
障害厚生年金(上乗せ部分) |
障害基礎年金 |
遺族厚生年金(上乗せ部分) |
遺族基礎年金 |
✔ 年金が2階建てになることで保障が充実する
社会保険に加入していない場合、老後に受け取れる年金、障害を負ったときに受け取れる年金、遺族となったときに受け取れる年金は、「1階部分(基礎)のみ」となります。
企業勤めで社会保険(厚生年金)に加入することで、「2階建て部分」も上乗せされる仕組みです。
特に、60歳未満の方であれば、国民年金第1号に加入して、国民年金保険料を納付します。
これが企業勤めで社会保険(厚生年金)に加入することで、厚生年金保険料は納付するものの、国民年金保険料は納付したものとして扱ってくれるんです。
つまり、厚生年金保険料の支払いのみで、「1階部分」「2階部分」の両方の年金を受け取ることができます。
✔ 医療保険では「傷病手当金」「出産手当金」の保障が充実する
健康保険は国民皆保険といって、以下のどれかに加入することになります。
・勤め先の健康保険に加入(健康保険協会または組合など)
・家族などの扶養に入る
・国民健康保険に加入
市の国民健康保険に加入している場合、病気で働けなくなったときに保障してくれる「傷病手当金」、出産で産前産後休暇を取得したときに保障してくれる「出産手当金」を受け取れない場合はほとんでです。
これは、各市の任意制度となっているため、原則、支給がありません。
勤め先の健康保険に加入することで、傷病手当金や出産手当金、その他の任意で設定されている制度が受け取れるメリットがあります。
働き方の見直しで雇用保険喪失・失業手当の手続き
10月の法改正で、働き方を見直しする人が多いのではないでしょうか。
メリットも理解したうえで、やっぱり社会保険に加入しない働き方を選択する方もいると思います。
週20時間未満の働き方に見直し
健康保険は妻の扶養に入っているし、年金も受け取れているので週20時間未満の働き方にしたいと思います。
会社と本人がOKであれば、働き方を見直しするというのもアリだと思います。
ただ、週20時間未満になると、雇用保険が喪失するので、失業手当の手続きを忘れないようにしましょう。
退職しているわけではないので、失業手当ってもらえないんじゃないんですか?
大丈夫です。働きながらでも要件を満たせば、失業手当を受け取ることが可能です!
週20時間未満になると、雇用保険の要件を満たさなくなります。
退職したら失業手当が受け取れるのは何となくわかりますが、働いているのに受け取れる?と疑問に思いますよね。
ちゃんと要件を満たせば受け取ることは可能ですので、忘れず手続きを行ってくださいね!
働きながら失業手当を受け取る方法
雇用保険の加入要件を満たさなくなって喪失した場合でも、失業手当の要件を満たせば受け取ることが可能です。
要件を満たすのであれば、会社に退職したときと同様に『離職票』を発行してもらってください。
あとは退職したときの手続きと同様です。
要は、会社に引き続き勤めていても、ハローワークへ求人の申し込みをすると、失業手当は受け取ることができます。
従来、退職していない場合は失業手当を受け取ることができませんでしたが、現在は改正されて可能となっています。
受け取れる失業手当額
実際に受け取れる失業手当額はどれくらいでしょうか。
今回、Aさんは66歳ということで、65歳以上の高年齢被保険者となるため、一時金として下記の日数分支給されることになります。
雇用保険の加入者であった期間 | 支給日数 |
1年未満 | 30日 |
1年以上 | 50日 |
今回、雇用保険を喪失して失業保険の手続きをしていないと、失業手当を受け取ることができない可能性が高いです。
これは失業手当の受給期間が原則、退職日(喪失日)の翌日から1年間となっているからです。
1年経過後に退職したときにはすでに「雇用保険喪失・失業手当の受給資格なし」とみなされ、失業手当を受け取ることができなくなります。
働き方が変わって雇用保険が外れたときに、会社から説明があればいいですが、必ずしも説明してもらえるとは限らないですよね。
たとえ最大50日分の支給であっても、損をしないために。10月から雇用契約が変わった方、必ずご自身の要件を確認して、手続きされることをおすすめします!
ぜひ、確認してみてくださいね。
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